オフィスの室内環境

オフィスの環境には、
・執務環境
・生活環境
・情報環境
・職場環境
があり、特にオフィス全体としての執務のための室内環境が重要です。オフィスは生活の場であるという観点から、快適性を基本とした室内環境を考える必要があります。当然のことですが不快と感じれば執務に集中できず効率が落ちてしまいます。快適性とは人が五感を刺激されることによって不快を感じない状態を言い、快適には空間全体に対する良好な環境を表すアメニティ、心身の心地良さを現すコンフォート、心理的な心地良さを表すプリーザントがあります。

室内環境 照明

オフィスの光環境は人の心理や生理に影響し仕事の効率・生産性を大きく左右することがわかってきました。

 

それでは快適で仕事の効率がアップする光環境とはどのようなものでしょうか?

 

光環境には自然光と照明による人工光があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。
自然光は体内時計に働きかけ脳を活性化する作用があるといわれていますが反面、光の強さや量の調整が難しい面があります。
人工光は一定の明るさを保ちやすいので照明器具を用いますが、一定の明るさのもとで長時間仕事をすると脳が活性化しなくなる現象がみられるといいます。
このためオフィスでも窓から適度に自然光を取り入れ生活のリズムを守ることが大切です。

 

以下は照明器具を用いる際の注意点です。

・オフィスは天井内部に照明器具を設置する「埋込式」が多く見受けられますがこれは、天井に直接照明器具を取り付ける「直付式」に比べ眩しさ(グレア)を防ぐ効果があります。またルーバー(遮蔽板)を用いるとサラニグレアが除去されます。

・集中作業をするエリアは周囲を比較的暗くして、手元をスポット的に照らしたほうが作業効率がアップします。

・リフレッシュスペースなどは間接照明を中心にして、エリア全体の照度(ルクス)を低くしたほうがリラックス効果が得られます。

 

サイン(表示)

オフィスにおいてサインは外部からの来客等以外は日常使用している場所であるため、公共施設や病院ほどには重要視されていないのが現実です。しかし非常時の誘導やエントランスにおける社名や総合案内などは重要なサインとして存在しています。またオフィスでの行動を効率的にしたりサインは安全と機能をサポートする重要な要素でもあります。以下はサインの役割です。
・サインの役割は、今どこにいるか(現在地)、目的地はどこか、現在地から目的地の経路、の3つが基本です。
・サインは視覚を中心に場合によっては聴覚、触覚などで適切に情報を伝達できる。
上記の役割をはたすため以下のようなサインがあります。
・案内表示
・誘導表示
・記名表示
・説明表示
・規制表示
サインはわかりやすさが一番重要なポイントです。それを考慮してサイン計画を立てましょう。

室内環境 熱

熱環境は主に人の触覚に関係し、温度・湿度・気流・放射の4つに関わる快適性のことをいいます。熱環境は健康に影響し、その結果として生産性に影響してしまいますので、如何に快適な室内環境を作るかが重要な課題となります。かつての建物は自然の熱環境(太陽熱や風)を活用せざるを得ませんでしたが、現在は人口環境(空調)に依存するようになっています。

空気汚染 建材によるもの

建材による空気汚染として代表的なものにアスベストやホルムアルデヒドがあります。アスベストは以前、断熱材や吸音材、耐火材として多く使用されていましたが、その繊維物質が飛散し、肺や喉など人体に大変有害だとして、1989年以降大気汚染防止法の特定粉塵に指定されています。またホルムアルデヒドは壁紙、家具、合板などの接着剤の原料として使用されていますが長期にわたりホルムアルデヒドが飛散し目が痛くなったり喉を痛めるなどの障害を引き起こします。上記以外にもビル冷房用の冷却装置の冷却水に発生するレジオネラ菌もあります。レジオネラ菌は空気吹き出し口から飛散し死亡率の高い劇症肺炎を引き起こすとされています。特に体力の弱っている時や免疫力の弱っている人に感染しやすいので注目されています。

室内環境 音

音環境は騒音への対策を行い、快適な音の環境を作ることをいいます。騒音は集中力を妨げますが逆に、まったく騒音のない状態も落ち着かない気分にさせます。オフィス内での騒音レベルは50〜55dB(デシベル=音の大きさを表す)で「3m以内なら普通の声で会話できる」くらいの騒音です。快適な室内の音環境のため以下のような対策があります。
・室内の音の響きを調節するために、天井・壁・床の仕上げ材には吸音性を持つものを使いましょう。床はPタイルの上にカーペットを敷いたり、壁は塗装でなくクロスを貼ることで音の反響が軽減されます。
・プリンターやコピーなどはなるべく音の静かなものを選びましょう。どうしても気になる場合はパネルで囲うなどの対策をしましょう。
・川のせせらぎなどの自然音や環境音楽を流すなど快適な音環境をつくるよう心がけましょう。

バリアフリー対策

高齢者や身体に障害を持つ人の雇用促進など雇用の多様化により、ユニバーサルデザイン、バリアフリーの重要性が指摘されるようになってきました。最近良く耳にする言葉ですが、バリアフリーとユニバーサルデザインにはどのような違いがあるか説明すると
・バリアフリーとは弱者(高齢者、障害をもつ人、子供、場合によっては女性などの総称)が自由に施設を使用できるようにバリア(障壁)を取り除くことをいいます。
・ユニバーサルデザインとは健常者を含めた全ての人を対象に、利用しやすく機能性を良くするように考えたデザインのことです。
ということになり両者には微妙な違いがあることがわかります。これからオフィスをレイアウトする際には職種や企業によってはバリアフリーやユニバーサルデザインを考慮する必要もあります。

熱環境 空調

空調設備には、規模や経済性、効率や運用面からいくつかの種類があります。
冷温空気の供給方式には
・天井の吹き出し口から直接吹き出す方式
・床置き式のユニット
・天井取付のユニットやパッケージ などがあります。
また空調全体のシステムとして、
・空調を集中して設置、制御するセントラル方式
・各フロアごとに制御する各階ユニット方式
・空調機ごとに制御する個別法式 があります。
ここで注意しなければならないのはセントラル方式で、ビル全体を一括での集中管理ですから、曜日や時間によっては空調の効かない場合がありますので、深夜や土日、祭日の業務の際は注意が必要となりますので、入居前に確認することも必要です。

空気汚染 外部からの侵入

外部から侵入する汚染には、車の排気ガスや花粉、害虫等がありますが、これらは扉や窓を開けることにより室内の空気を汚染します。特に近年は花粉によるアレルギーが非常に多くなり、室内の花粉の量を抑える必要に迫られています。最近のオフィスビルは機密性が高いため適切な空気環境の維持が必要です。空気汚染物質の多くは無味無臭で人体で直接感知できないため測定値で把握することも必要になってきています。

室内環境 香り

香りは嗅覚に関連し、テーマとして悪臭の除去と良い香りの提供があります。悪臭は人の気分を害し、仕事の効率を低下させますが、良い香りは仕事のミス(特に定型的、反復的な業務)を無くしたり、能率をあげることが出来ます。そのためには臭気を発生させないことが基本となります。やむをえず発生する生ゴミなどの悪臭はその発生源とオフィスを隔離させたり、換気を常時できるようにして匂いが気にならないような環境をつくりましょう。空調及び送風機などを利用し、人為的に香りを流して快適な環境にする方法も考えられます。花や木の香りをオフィス内に散布することにより抹消血流量を増やしストレスを減少することが出来るといわれています。ただし香りを導入する場合は好き嫌いもあるので社員の意見を十分に確認しましょう。以下に香りの種類と効果を列挙します。参考にして下さい。
眠気をさます効果・・・ハッカ、ユーカリ、レモン、サルビア、ローズマリー
眠気をさそう効果・・・ジャスミン、カモミール、ヒノキ
緊張を和らげる効果・・・オレンジ、レモン、ラベンダー、ローズマリー、ペパーミント
不安感を和らげる効果・・・レモン、ラベンダー、ローズマリー、ペパ^ミント、ローズ

ハートビルト法 オフィスの場合

1994年に施行(2002年改正)されたハートビルト法(高齢者、身体障害者が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)では多数の人が利用する施設として特定建築物の中にオフィス(2000u以上)が含まれています。これほど広いオフィスが開業したばかりの企業にそうあるとは思われませんが、対外的なイメージ(人に優しい)を含め弱者に対する気配りは必要です。以下のチェック項目を参考にオフィスレイアウトを考えましょう。
・オフィス デスク間の通路はその巾を90cm以上確保する。
対向式の場合、座る空間を除き90cm以上とする。
通路は出来るだけ凹凸がないようにする。
デスクの高さは車椅子に対応できるようにする。
車椅子、小柄な人のため、引き出しは2段を基本とする。
車椅子使用者のため、下段の両開き書庫は避ける。
照明は高年層、高齢者のための明るさを確保する。
女性、病弱者のための適度な温湿度を設定する。
診療、健康相談の設備またはシステムを充実させる。
子供のいる女性のための託児所などの確保をする。
盲導犬のスペースを設ける。
壁等固定の電源コンセント等は端部から40cm離す。
固定の電源コンセント等は床面から35〜40cmとする。

 

空調のゾーニング

必要な場所に必要なだけ空調を行うための区域化を、空調ゾーニングといいます。それぞれのスペース(一般執務スペース、会議室、応接室、更衣室、食堂など)において部屋別に空調の温度を区域分けします。特に近年のオフィスは、情報機器の発熱量をじゅうぶんに考慮する必要があり、そのことを基本にして、空調のブロックを細かく分割することも考えましょう。空調ゾーニングを的確に行うことにより省エネルギーにもつながり、結果的に経費の節減にもなります。

空気汚染 換気

空気環境を良好に保つために最も有効な手段は換気です。換気には吸気と排気があり、方法として自然換気と機械換気(強制換気)があります。大規模なオフィスビルでは空調設備を運転しないと換気されないこともあるので、深夜や休日のオフィスでの換気に配慮しましょう。

室内環境 色

色彩は人の心理や生理に影響し、仕事の生産性向上ヤストレスなどに関連します。また企業イメージ(CI=コーポレートアイデンティティ)の構築にも重要な役割を果たします。ただしオフィス内で使用する色に関しては年齢や個人差、経験や文化の差があるのでこれらのことも考慮しましょう。下記に色彩選びの注意点を記します。
・オフィスの色彩は外来者に対する企業イメージの向上、PR,社員のモラル高揚に大きな影響を与えるのでこれらを考慮しましょう。
・オフィスの色彩は心理的、生理的な疲労を生じにくい色彩を基本とします。色によってはストレスを生じることもありますので機能スペースごとの目的を理解したうえで用います。
・デスクの天板やパネルなど目のいきやすい場所には眩しさを感じさせず、また反射の少ない色彩を採用しましょう。
参考 色が人に与える感情(主なもの)
赤・・・激情、怒り、歓喜、活力、興奮、勝利、野望、愛情
黄・・・快活、明朗、愉快、元気、笑い、快楽
緑・・・安らぎ、くつろぎ、平静、若々しさ、自然、調和
紫・・・厳粛、優艶、神秘、不安、優しさ、怨恨
青・・・落ち着き、寂しさ、悲哀、深遠、沈静、責任
白・・・純情、清々しさ、平和、良心、従順
黒・・・陰鬱、不安、いかめしさ、死、夜
ピンク・・・愛らしさ、優しさ

空調値基準

適切な空調として、建築基準法施行令や労働安全衛生法基準規則に示す温度、湿度、気流に関する基準値があります。オフィスビルにおけるものとして、一般的に温度は夏季で26℃、冬季で22℃、湿度は夏季で50%、冬季で45%内外となりますが、省エネの観点から温度は夏季、冬季のそれぞれで1℃上下させることが求められます。また冬季は湿度が低くなり体内に静電気を保持することがありますので、対策として加湿器の使用などで湿度を高くすることも必要でしょう。
*参考 居室における空調値基準
・温度 17℃以上28℃以下で居室における温度を外気より低くする場合はその差を著しくしないこと。
・相対湿度 40%以上 70%以下
・気流(風の流れ) 0,50/秒以下

室内環境 アート

アートは空間に潤いをもたせ人の五感、特に視覚に影響を与えて脳を刺激して仕事を活性化させ、ストレスを解消するなどの役割をもちます。オフィス内にアートを採用する場合はさりげなく安らぎを与えるようなものを選びましょう。ただし壁面にあまり大きなアートを設置すると、壁面書庫の設置場所を減少させることにもなりかねませんので、予め計画し家具とのバランスを考え、可能であれば定期的にアートの架け替えを心がけたいものです。長期間同じ場所に同じアートがあると慣れにより効果が低下します。またアートは色彩同様好悪に個人差がありますので出来るだけ多くの人に支持されるような作品にしましょう。

熱環境 オフィスでの対策

オフィスでは熱環境に対して以下のようなことに注意しましょう。
・空気の流れがスムーズになるよう家具を配置しましょう。特に背の高いローパーテーションで閉鎖的な空間になるようなエリアの空調の配置には注意が必要です。
・サーバー、コピーなど発熱量の大きい機器が集中するような場所は空調の増設など対策が必要でしょう。
・空調吹き出し口直下のワークエリアでは風量や温度に注意しましょう。その場所にいる人の体調に影響します。
・温度のムラが著しい場合は扇風機などでの個別対応や場合によってはレイアウト変更も考えましょう。

室内環境 グリーン

グリーン(植栽)とは花、草、植木などの総称です。グリーンはオフィスに潤いをもたせる効果があり視神経の回復や吸音、消臭、空気浄化などにも役立ちます。グリーンには自然植栽と人口植栽がありそれぞれに長所短所がありますので良く理解して会社にあった方を選びましょう。
長所
自然植栽・・・時間、季節による変化が楽しめる。
消臭効果とともに自然の香りがある。
二酸化炭素を酸素にし、空気浄化に役立つ。
吸音効果がある。
人工植栽・・・枯れないので長期間使用できる。
水やりなどのメンテナンスが不要。
虫、バクテリアの発生がなく衛生的。
自然植栽に比較して経済的。
短所
自然植栽・・・落葉などで清掃に手間がかかる。
水、肥料などの供給や枝葉の清掃に手間がかかる。
虫、バクテリアの発生が考えられる。
枯れることがある。
人工植栽・・・時間、季節による変化がない。
枝葉の清掃が自然植栽より必要。
自然に触れるという心理的、生理的効果が乏しい。
また最近では人工植栽でも光触媒により、消臭効果のあるものもあり選択の幅が広がっています。またある程度背丈のあるグリーンは空間を仕切る効果もありますので、打ち合わせエリアなどで有効に活用しましょう。

空気環境

多くのエネルギーを消費する現代社会においては大気の汚染や、様々な公害問題があるように、室内の空気も人体に直接的な影響があり、人によっては微量な汚染物質で健康に影響を及ぼすこともありえます。オフィスビルなどではシックビル症候群、一般家庭ではシックハウス症候群などの以前にはなかった現象が起こっています。これらの現象は空気の質、つまり空気環境が原因であるといえます。空気環境は単に触覚、嗅覚、味覚にとどまらず、安全面や健康面からも重要な環境要素といえますので、当然良い空気の環境が求められます。

空気環境 空気汚染

空気環境では、空気中の酸素濃度と空気汚染物質の有無が問題で、空気を汚染する原因としては室内で発生するものと外部から侵入するものに分けられます。このうち室内で発生する空気汚染には
・燃焼によるもの(電機・先湯・ガスを動力とするストーブやコンロの使用)
・健在によるもの(アスベストやホルムアルデヒドなどの吸音材や接着剤など)
・人間の行動によるもの(基本的な生理現象や喫煙、病原菌など)
の3つの原因が考えられます。